フィンテックの次にフードテック・ブームが来る10の理由

最近、シリコンバレーの起業家や投資家たちの間でとくに注目されているのは、食肉(食品)業界におけるイノベーション、すなわち「フードテック」だ。

彼らは今後数年以内に大きな変化が食肉業界に訪れると見込んで、すでに動き始めている。

 

  1. 投資リターンが大きい

現在、世界の食肉業界の市場規模はおよそ7500億ドル(約80兆円)。中間層の人口増加などによって、2050年までにその需要は2倍に増えると見込まれている。

この業界構造が根底から変われば、大きなチャンスが生まれる。

 

また現在の食肉の生産・流通システムは非巧率であり、「代替肉」(植物由来の肉や、動物の幹細胞を裁養して人工的に作った肉)の普及が進めば、食品企業にとっても数十憶ドル規模のコストダウンにつながる。

 

  1. 有望なスタートアップが登場している

アメリカやイスラエルを中心に、勢いのあるフードテック・スタートアップが次々に登場し、多額の資金調達に成功している。

 

・Memphis Meatsアメリカ):培養肉のスタートアップ。

2017年夏のシリーズAラウンドで大手VCなどから1700万ドル(約19億)を達成。

 

・Super Meatsイスラエル):ニワトリの幹細胞を培養した鶏肉を開発。

2017年、シードラウンドで300万ドルを調達。

 

  1. 著名なビジネスリーダーが支持している

サーゲイ・ブリン(グーグル/アルファベット)やドン・トンプソン(マクドナルド)李嘉誠長江実業グループ)など業界のリーダーたちは、「代替肉こそが最も有望なテクノロジー」だと明言している。

またビル・ゲイツマイクロソフト)やリチャード・ブランソン(ヴァ―ジン・グループ)などは、Memphis Meats(上記)

にすでに多額の投資をしている。

 

  1. 食品大手も協力している

興味深いことに、既存の大手企業も衣代替肉への移行に積極的だ。

アメリカの食品大手、カーギル(Cargill)とタイソン・フーズ(Tyson Foods)は代替肉スタートアップに出資。

彼らは、低価格かつ、ヘルシーで、伝染病の流行など思わぬ経営リスクを避けられている代替肉を有望な食品とみているのだ。

 

  1. 人道的・道徳的である

 

いうまでもなく、代替肉なら動物を殺さずに済む。人道的観点ならベジタリアンになった人も代替肉なら食べられる。

また、動物愛護生体なら動きを歓迎している。

 

  1. 環境に良い

 

工場で生産可能な代替肉なら環境に与える影響ははるかに少ない。

 

  1. 衛生的である

 

現在の食肉ビジネスには、感染症(狂午病や、鳥インフルエンザなど)や、抗生物質が効きにくい耐性菌(サルモネラ菌など)、生産過程における大量の化学物質の使用といった問題がつきまとう。だが植物由来の代替肉なら、こうしたリスクを心配する必要はない。

 

  1. ヘルシーである

 

一般的に植物由来の肉の方が栄養は豊富で、有害な成分が少ない。

 

  1. 財布にやさしい

 

代替肉といえばオーガニック食品店で売られている高価な食品をイメージするかもしれないが、一般肉と同程度の価格帯で提供されているようになっている。

植物由来の鶏肉を開発・販売するニュージーランドのフードテック・スタートアップは、生産規模を拡大することで「世界一安い肉を作る」とまで公言している