中国初の「ブロックチェーンSNS」を生んだ24歳の女性

北京に本拠を置くブロックチェーン企業「Nome Lab」創業者であるXu Keの特技はポーカーだ。彼女は、2013年にカリフォルニア大学リバーサイド校に交換留学をしていたときにポーカーを覚えた。彼女はポーカーを通じて確率論やリスク評価を学んだ。

 

Xuのポーカー仲間は型破りな人間が多く、中には仮想通貨の投資家もいた。当時は仮想通貨という言葉がまだ一般に普及していなかったが、Xuはビットコインのマイニングをするようになった。仮想通貨のことを知れば知るほど、彼女はブロックチェーンが揚げる分散化の思想に惹かれたという。

 

Xuが2014年に北京に戻って後もポーカーやビットコイン投資を続け、ポーカーの試合で稼いだ資金でビットコインを購入した。彼女は最高時で5万BTCを保有していたが、2014年に2万BTCを1BTC当たり240ドルで売却し、480万ドル(5億2800万)を手にした。現在24歳になったXuは、ビットコインを早く売却し過ぎたことを後悔しているという。

 

なぜならば、今でも保有していれば2万BTCは1億2000万ドル(約132億円)にもなるからだ。彼女はビットコインで稼いだ資金で開発したソーシャルアプリを2016年に売却し、「Nome Lab」を立ち上げた。同社の事業内容は、ブロックチェーンを使ったプロダクトやゲームの開発だ。これまで最も成功したプロダクトは、「CryptoDogs」というデジタルグッズを交換するゲームだ。

 

今年、フェイスブックがユーザーの個人データを不正に共有した問題が発生したことを受けてXuは、ブロックチェーンを使った自由なソーシャルネットワークの構築を思い立った。このソーシャルネットワークでは、全てのユーザーデータが分散化され、良質なコンテンツを共有したユーザーは報酬が得られる。

 

Nome Labが開発した分散型ソーシャルネットワーク「Ono」は、4月にベータ版がリリースされた。Xuによるとユーザー数は既に300万人を突破したという。Xuは、WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)の理念に共鳴してOnoの立ち上げを決意したという。

 

「インターネットは全ての人類のためのものであるはずなのに、現在は中央集権化が進んでいる。世界トップ10のテック企業はユーザーのデータを売ることで巨万の富を築いた。こうした状況を打破する上で、ブロックチェーンは非常に重要な役割を果たす」と彼女は話す。Onoは「dapp(分離型アプリケーション)」のため、Nome Labはユーザーデータを売りたくても売ることができない。現在、OnoはGoogle Playストアからダウンロードすることができ、iOS版は今月中にリリースされる予定だ。ウェブ版は、どのブラウザからもアクセスすることができる。筆者も登録してみたが、英語のコンテンツが意外と多いことに驚かされた。使ってみた印象は文字制限のないツイッターや微博(ウェイポー)といった感じだ。

 

Nome Labは、これまでに「China Growth Capital」や「Korea Investment Partners」などから総額1600万ドル(約17億6000万円)を調達している。Xuによると、今後は広告掲載やブランドとのタイアップによる収益化を予定しているという。

 

現在、北京にあるNome Labのオフィスには76名のスタッフが勤務しており、海外の拠点に15名が勤務しているという。この他に数千人規模のボランティアがサイトの監視を行っている。Xuが目指す民主的なソーシャルネットワークを実現する上で、彼らの存在は不可欠だ。

 

「Onoは民主的に運営されている。コンテンツ制作者は自らのコンテンツの所有権を持ち、良質なコンテンツには報酬が与えられる」とXuは話す。Onoのコミュニティによる投票で最良のコンテンツに選ばれると、制作者にはアプリ内課金が可能なデジタル通貨が与えられる仕組みだ。

 

# Xuが成功に導いたのはポーカーだ。まるでポーカーの様にブロックチェーンSNSを生んだ。(早すぎたビットコインの売却含め)彼女のコメントも私のゴールはお金を手に入れることではなく、戦いに勝つことだと述べている。コメントも勝負師だ。勝負師だけでは成功できない!彼女はきっと神なんだろうと私は思う。