パレスチナは「現実を直視」すべき イスラエル首相
ドナルド・トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と承認したのを受け、アラブ・イスラム世界で激しい抗議デモが発生するなか、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は10日、和平に向け前進するにはパレスチナ人が立が「現実を直視」しなくてはならないと述べた。
ネタニヤフ首相は、エルサレムは3000年にわたってイスラエルの首都だったとし、「ほかの民の首都だったことはない」と語った。
10日には、レバノンの米国大使館前などで行われたデモの参加者が暴徒化。エルサレムでも、バス停留所でイスラエルの警備員を刃物で刺し重傷を負わせたとして、パレスチナ人1人が逮捕された。
パリを訪問したネタニヤフ首相は、エマニュエル・マクロン大統領との会談後に記者会見し、「千年に及ぶユダヤの人々とエルサレムとの結びつき」を否定するのは「ばかげている」と語った。
ネタニヤフ氏は、「聖書という、とても立派な本の中に書いてある」と述べ、「聖書を読めばわかるし、流浪の民となったユダヤ人社会の歴史を通じて語られている。イスラエルの首都はエルサレム以外のどこにあるというのか」と語った。
「パレスチナ人が現実を直視するのが早ければ早いほど、和平に向かって前進できる」マイク・ペンス米副大統領の報道官は、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長が近く中東を訪問するペンス氏との会談を拒否していることについいて、「残念」だと述べ自治政府の対応を批判した。
エジプトでも、米政権の決定に抗議する形でイスラム教とキリスト教の聖職者トップたちがペンス氏との会談を中止した。
相次ぐ抗議デモ
イスラエルとパレスチナの対立の中心にあるエルサレムの位置付けについて、長年にわたる米国の中立的な立場を転換するトランプ氏の決定は、今月6日の発表以来さまざまな方面から強い非難を受けている。
イスラエルはエルサレムが自国の首都だと一貫して主張してきたが、パレスチナ人は、1967年の第3次中東戦争以来イスラエルによって占領されてきた東エルサレムを、将来の樹立を目指すパレスチナ国家の首都にしようとしている。
国家指導者同士の非難合戦
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、イスタンブールで開かれた大規模集会で、エルサレムを見捨てて「子供たちを殺すような国」に渡すようなことはしないと語った。
イスラエルのネタニヤフ首相は、エルドアン大統領が「イスラエルを攻撃した」と非難。「自分の国トルコでクルド人の村々を爆撃し、ジャーナリストたちを投獄し、イランに国際的な経済制裁を回避するのを助け、ガザ地区などでテロリストたちが無実の人を殺すのを援助する指導者から道徳について説教を受けるなど、めったにない経験だ」と付け加えた。
エルドアン大統領は、エルサレムをイスラム教徒にとっての「レッドライン(超えてはならない一線)」だと表現し、イスラエルとの国友断絶に至るかもしれないと指摘した。
http://www.bbc.com/japanese/42305096
# エルサレムにはユダヤ教とイスラム教、キリスト教それぞれの聖地があり、東エルサレムに特に多い。トランプ大統領は、イスラエルとパレスチナ人の間の和平と判断しているが、国際社会はエルサレムに対する主権をイスラエルに認めておらず、各国が非難するのはまちがいないと思う。緊張を高め平和への取り組みを危うくすることを、理解しているのだろうか?