あなたは飲める? スウェーデン「下水ビール」

多くの人が愛するビールだが、1バイント(約470ミリリットル)を製造するのに約76リットルの水が必要なことを考えると、環境に優しい飲み物とは言えない。だが皆さんは、いくらサステナビリティー(持続可能性)のためとはいえ、浄化された下水で作られたビールを飲めるだろうか?

 

スウェーデンのビール製造企業ニーヤ・カーネギーブリゲリエット(Nya Carnegiebryggeriet)とスウェーデン環境研究所(IVL)、カールスバーグスウェーデンはこのほど、同国初となる「リサイクル水」から作られたビール「PU:REST」を発売した。

 

このコンセプトの生みの親は、IVLで上級プロジェクト開発者を務めるスタファン・フィリプソンだ。IVLはスウェーデン産業界・政府が出資する非営利団体で、約50年にわたり下水処理技術の開発に取り組んできた。フィリプソンは、安全できれいな水の価値についての人々の意識を向上し、、下水も飲み水になることを示すためのクリエーティブな方法を模索していた。

 

数ヵ月にわたるブレーンストーミングを経て、フィリプソンとIVLのチームは、高度に浄化された下水を食品製造に使うアイデアを思いついたのは、この案を実行に移す意欲のある食品メーカーを探すこと。フィリプソンが連絡を取ったのは、カールスバーグスウェーデンが米ビール製造企業ブルックリン・ブルワリーと協働で設立した醸造企業、ニーヤ・カーネギーブリゲリエットだった。同社は過去にも、環境に優しい材料を使ってビールを製造していた。

 

ニーヤ社も多くの人と同様、最初は懐疑的な反応だった。特に気にかけていたのが、衛生面だ。この懸念はフィリプソンが予想していたことだった。フィリプソンは、IVLがどのような技術を使い下水を「飲用水道水と同じくらいきれいな水」に変えているかを説明した。

 

気になるお味は…?

 

工程を経て、スウェーデンぼ飲料水基準を十分に満たすリサイクル水ができ上がる。この水は、多くの一般的な検査基準(化学・生物学的パラメーターや、医薬品・環境ホルモン化合物などの有機物基準)で全て、検出限界を下回っている。フィリプソンは「味が良いことを保証する。ただ、通常の飲み水と全く同じ味にするには、ミネラルをいくつか加えた方が良いかもしれない」と語った。

 

ニーヤ社が知る必要があったのはそれだけだったようだ。チャレンジは常に歓迎すると語る同社のアンバサダー、ステフェン・ディッペルは次のように述べた。

 

「このビールが本当に安全で、味も良いと100%確信できると、私たちはすぐに醸造所で話し合って、このビールは大義のための理想的な『ティーザー』プロジェクトだという結論に達した。これは私たちにとって、水保全の重要性を訴え、食べられるものに関する消費者の概念を覆す、本当にユニークな方法だ」

 

フィリプソンもこれに同意し、「このビールはまだ、開放的で革新的な社会をたたえる製品でもある。これは、好奇心と広い心が恐怖に打ち勝てる場だ」と語った。

 

PU:RESTは透明性の高いピルスナービールで、アルコール度数は4.8%。有機ピルスナーモルトと有機シュパルターホップ、ブルックリンハウスラガーの酵母、IVLの施設で浄化された水が使用されている。

 

# 日本でも水道水は安全・安心なのです。市販のミネラルウォーターが41項であるのに対し、水道水は70項目。これを知ったら私も水道水を飲もうと考えた事はあるのですが、私の場合は、毎日たくさんの薬を朝・夕と呑むのでミネラルウォーターは手ばなせないのが現状です。スウェーデンビール「PU:REST」安心して飲めるビールと言えるでしょう。