過去最多の訪日外国人、数さえ増えればいいのか?

                                    3/29

 

2017年の訪日外国人の数は、ついに過去最多の2869万人となった。日本政府観光局(INTO)は国別内訳を以下のように公表している。

 

トップ5はここ数年不動の1位中国(735万人)、2位韓国(714万人)、3位台湾(456万人)、4位香港(223万人)、5位アメリカ(137万人)。トップ2の中国と韓国は初めて700万人台を突破した。

 

なかでも韓国は前年比40.3%増と大きく増やした。これは韓国を訪れる日本人の数が減少傾向にあるのとは対照的だ。台湾や香港での日本への旅行の人気の高さは驚くほどで、人口2356万人の台湾の5人に1人、人口740万人の香港の3人に1人が日本に訪れている。

 

タイを筆頭にしてアセアン諸国からの訪日客が300万人になったことも、いまや隔世の感がある。人手不足の日本は、東南アジアから技能研究生を多く受け入れようとしているが、訪日する観光客はレジャーを楽しむために日本を訪れているのだ。訪日外国人観光客の国別構成には、以下の3つの特徴がある。

 

  • 全体の5人のうち4人がアジアから訪れている

 

  • 欧米からの観光客10人に1人にすぎない

 

  • 半数以上は中国諸圏の人たち(INTOの集計によれば、2017年の訪日外国人の内訳は東アジア2%、東南アジア+インド10.6%、欧米豪11.3%となり、中国に台湾と香港、東南アジアの華人を加えると、中国語圏の人たちは半数を軽く超える)

 

誰のための外国人観光客誘致なのか

 

国土交通省の外局である観光庁の統計によると、訪日外国人の旅行消費額は年々伸び、2017年は4兆円を大きく超えそうだ。1990年代前半のバブル崩壊以降、長く減少傾向が続いていた国内の宿泊旅行者数も、外国人の増加で持ち直しつつある。彼らのニーズにつながる商品やサービスを提供した小売や製造、宿泊、不動産などの業界は恩恵を受けている。

 

# 国際的にみても、日本は観光に力を入れる国という評価が高まっているのだ。ダボス会議で知られる世界経済フォーラム(WEF)が昨年4月に発表した観光競争力ランキングで、日本はなんと世界第4位になったのだ。なんと言っても日本の強みは顧客への対応、国内の行き届いた鉄道、魅力的な文化資源だろう。また、ビジネスにおける、かねてのビジネス旅行なのだ。