寝室は一生パートナーと共有すべきか 定年退職までに考えたいこと

定年退職後の生活設計において、「寝室」が話題に取り合上げられることはあまりない。そうした話は従来、タブー視されてきたところがあるからだ。多くの人たちが「一緒に寝ないカップルは愛のない関係だ」「離婚も遠くないということだろう」などに推測する。

 

フィナンシャルプランナーとして、クライアントの老後の計画について相談に乗ることが多い筆者がこの問題に関連して思い出すのは、ある夫婦のことだ。別々の寝室で寝ていることを妻が話すと、他人に“夫婦の秘密”が明かされたことに夫はひどく失望したようだった。自分たちの夫婦関係がもはや“普通”ではないことを恥じるかのように、うなだれてしまった。

 

別々に寝ることを退職直前、または退職後の早い段階で決めた場合、問題がより複雑になることもある。仕事上の立場を失い、職場の友人と離れ、目的意識をなくしたばかりのときに寄り添って寝る人がいなくなれば、男性でも女性でも容易に傷ついてしまうだろう。

 

これは、科学的な要素も絡む微妙な問題だ。健康的な睡眠習慣の重要性に対する認識を高める活動を行うBetter Sleep Councilによると、「十分な睡眠は態度や心的状態を改善し、自信や能力を高める」。また、睡眠不足がうつ病脳卒中、心臓病などさまざまな健康上の問題を引き起こす原因になることは、私たちの誰もが知っている。

 

無粋なことにように思えるかもしれないが、次に挙げるようなパートナーの習慣などと距離を置くことができるという点で、別々に寝ることにはいくつかのメリットがある。

 

◦ 就寝時間が合わない

◦ 熟睡しない

◦ ベッドでテレビを見る

◦ いびき

◦ 寝言/夢中歩行

 

そのほか、快適に感じる温度、寝具やスペース、好む環境(外の音を嫌がるかどうかなど)が違う、孫や子供がパートナーのどちらかと一緒に寝たがる、といった場合にも、別々に寝ることを検討してもいいかもしれない。睡眠に関する専門家によると、パートナーと一緒に寝ている人たちは一人で寝ている人たちに比べ、睡眠を妨げられるこよが50%多いという。

 

実際のところ、別々に寝る人たちは増えてきているという。米睡眠財団の調査によると、カップルの9割に1組は別々に寝ている。また、不動産業者と全米住宅建築業協会(NAHB)のそれぞれの報告によれば、注文住宅の60%は、カップルのそれぞれに専用の寝室がある設計になっている。

 

こうした統計結果を見ると、別々に寝る方が良いようにも思える。だが、寝室をどうするかについての決断においては、科学だけではなく心の面についても考えなくてはならない。もちろん睡眠は重要だがパートナーとの親密な関係も同様だ。

 

一緒に寝ることにも別々に寝ることにも、それぞれを支持する明確な理由がある。そして、どうすべきかを話し合うことは、パートナー同士が現状についての自らの考えを述べ、問題があればそれについて話し合う機会でもある。

 

# 人それぞれ生活が違うので、一緒に寝ているか、寝ていないかはパートナーとの生活を維持することだろう。パートナー同士が自らの考えを述べ、その問題について話し合うことが大切である。パートナーでも親密さを求めるパートナーのニーズは、満たされなければならないと思う。大切なことは、互いに理解し合い、毎日の生活の中で緊張から解放される場所を得ることだと思う。